室町後期
戸木は奈良街道に沿って広がる古くからの集落です 北は国道165号線から南は久居台地の南端まで びっしりと民家が集まっていて 集落の中を細かな網の目のように路地が続いています 目的の大蔵寺へは車を捨てて歩いて向かうことにしました
本堂の前の壇上に六角の六地蔵さんがお祀りされています
重制石幢の龕部ですが 珍しいところは 普通は笠石と龕部とは別石で組み合わされますが こちらは 龕部と軒の浅い笠石が一石で彫成されています
同じ境内に残されたこちらも室町後期の地蔵さんです 鼻欠け地蔵さんと呼ばれています
花井一子さんが書かれた『我がふる里史』という冊子があります 戸木に伝わる民話や伝説を丁寧にまとめられたもので その中でも大蔵寺について取り上げられています 以下に少し引用させていただきました
大蔵寺の鼻欠け地蔵
本堂に向かって左墓地の入口にあり、砂岩製足利末期(17世紀ころ) 本堂造営の際大工が戯れ、地蔵の鼻をノミで欠いてしまい、そのため大工は祟りを受けたと伝えられています。
六角地蔵
大蔵寺境内本堂前花崗岩製で、笠が六地蔵と一石で造り出し仏龕も長方形で普通のものより形式を異にする、足利末期(17世紀)の作とされる。昔は葬儀があると各宗派のお寺で行われたもので、死者を運ぶ蓮台車でお寺に運び六地蔵のまわりを三回まわって、棺を本堂に安置し住職の念仏により成仏を祈り、未知の世界へ死者は旅立って行くといわれています。現在は地震で六地蔵の頭の部分が壊れています。
参考書籍
「久居市史上巻」 P171 久居市
「我がふる里史」 P45 花井一子
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