天神丘墓地の六地蔵石幢 伊勢市字浦田

江戸前期

伊勢の図書館は時々行く場所だ 市史や町史を漁っての情報収集するのが主な目的で 半日ほどをそこで過ごすことがある
すぐそばに天神丘墓地があるのだが訪ねてみたことはなかった
そこに石幢が立っていることは知っていたがいつでも行けると油断していて後回しになっていたのと あまりに広い墓地でどこから探せばよいか途方に暮れる思いがしたからだ
伊勢市内の墓地はわたしのようなよそ者の目からは不自然なほど繁華なところにあって異様なほど広大に見えるのだが 中でも天神丘墓地は広い 丘陵をまるごと覆っている その中から石幢を探すのは大変やなあとおもっていたのだが 行ってみると墓地を入ったすぐのところに石幢は立っていた

重制石幢に比べて単制石幢は部材も少なく構造が単純なために却ってデザインに様々な工夫がされていておもしろいのだが この石幢は奇をてらったところもなく美しい 厚みのある六柱屋根を載せて堂々とした風格をみせている
少し赤味掛かった花崗岩の六角柱の各面に浅い舟形を彫り窪めて地蔵さんが薄肉彫りされている 縦に長く単純化させた意匠だが精緻で丁寧な作りだ 頭光輪も彫られていてお顔の表情もよく残っている
持物は宝珠錫杖 如意 蓮華 念珠 宝珠 幡 となっている 

参考書籍

「伊勢市の石造遺物」伊勢市教育委員会 P167

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