慶安五年(1652)
伊勢市内には市街地の真っ只中に広大な墓地があって驚かされることがある 中勢の他の地域にもあまり例がないのではないだろうか 伊賀の在所の墓地に比べると何十倍もの広さだ ここ大世古墓地も周囲をぐるりと歩けば5〜600mもありそうだ
墓地の南辺に沿って外側を参宮線と近鉄山田線が走っている 線路が見える辺りまで行ってみると無縁塔があり 正面に阿弥陀さんの石像と並んで単性石幢が立っている
円柱状の幢身に六面の舟型を彫り窪めて その中に六体の地蔵さんを彫っている 摩耗が進んでいて地蔵さんの姿は鮮明ではないが
『慶安伍辰壬暦卯月日(1652年) 浄泉軒□講中』
の銘が確認されている 浄泉軒は寛延元年(1748)に廃寺になるまで一之木町越坂にあった寺院だというので この石幢は隣町の一之木町から移されたもののようだ 饅頭型の笠石がほほえましい
参考書籍
「伊勢市の石造遺物」伊勢市教育委員会 P163
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